間近に迫ってきた「SIMロック解除の義務化」。
今後のスマホ運用に影響を与える内容なので、大いに気になります。
■参考:日本経済新聞 「携帯のSIMロック解除、15年5月から義務化 総務省」
SIMロック解除とは何か
携帯電話やスマートフォンには、SIM(Subscriber Identity Module)と言われる通信カードが挿さっています。
通話や通信はいろいろな会社がサービスを提供していますので、それらを通信カードの挿し替えだけでユーザーが選べるようになってるんですね。
ですが、日本ではこれを挿し替えても動作しないようにロックがかけられています。
ソフトバンク端末なら、ソフトバンクのSIMでしか通話や通信ができません。
つまり、通信契約と端末販売がセットになっているということです。
何故こんなことをするのかというと、端末販売での利益がでる、キャリア自身に付加価値をつけたい、などという事だと思います。
分かりやすいのが、近々発売になるドコモの『Xperia Z3 Compact』。
これはドコモでしか扱っていないので、この機種がほしければドコモと契約するしかありません。
今や当たり前になっているこのスタイルですが、よく考えればおかしいと思いませんか?
パソコンを買うのにプロバイダまでセットになっているようなものです。
車を買うのにガソリンスタンドが指定されているようなものです。
テレビを買うのに視聴できる局が決まっているようなものです。
このおかしな仕組みをなくしようというのが「SIMロック解除の義務化」なんです。
ロックが解除できるわけですから、利用者は通信キャリアを自由に選べます。
家電量販店で端末を購入して、それを持って携帯キャリアに通信契約をしに行くという、本来のスタイルに変わる可能性があるということです。
具体的にはどうなる?
これは正直まだわかりません。
今月中に制度案がまとめられ、今年中に内容が決まるということですが、その内容によって変わってくるからです。
「SIMロック解除の義務化」といっても、それがどこまでのものなのか。
ロックしてはいけない、とは言ってません。
いつ解除するのかも具体的ではないので、解除できるのが契約から2年後、とかもあるかもしれません。
解除料が無料かどうかも分かりません。
言っているのはあくまで「ロックを解除できるようにしなさいよ。」ということです。
ただ、個人的には、これが実施されたとしても、すぐには変化がないと思っています。
仮に、全キャリアの端末が最初からSIMロックフリーだっとした場合、どうなるでしょう。
2年縛りに関しては、総務省でも解消案が見送られましたので、従来どおり継続するでしょう。
端末販売に関しても、やめてしまうメリットはありませんのでしばらくはそのままでしょう。
月々割などの割引も、2年契約すれば端末代金分は割引しますよ、という「他社へ変更されないようにするための囲い込み措置」ですから、SIMロック解除には関係なく、そのまま継続するはずです。
さて、何か変わりますか?
今までと何も変わらないんです。
■参考:日本経済新聞 「携帯「2年縛り」解消見送り 料金引き下げ道半ば」
じゃあ意味がないのか
そんなことはありません。
機種変更をしたいと思った時に効果が出てきます。
なので、効果を感じるのは1年から2年後じゃないでしょうか。
これまではキャリアに行って機種変更手続きをしていたのですが、キャリアに行く必要がなくなります。
この頃には通販や家電量販店で今よりも豊富な機種選択ができるはずですので、端末だけ買ってきて、SIMを挿しかえればいいだけです。
それに、キャリア契約も、端末によらない内容のはずですから、機種変更時の割引(ソフトバンクなら月々割、ドコモなら月々サポート、など)が消滅するのも気にする必要はなくなっているでしょう。
SIMロック解除とはつまり、通信契約と端末が切り離されるということですから、機種変更が自由になるんですね。
まとめ
今の段階では、制度案もかたまっていませんし、固まった後に各キャリアがどういう対応をするのか分かりません。
もしかしたら契約プラン自体大幅に変わってくるのかもしれませんし、あまり変わらないかもしれません。
どちらにしても、総務省はスマホ維持費の抑制と、通信事業競争の活性化のために、今後も制度を整備していくはずです。
大手3キャリアだけではなく、新規事業者が参入しやすい環境を整える方向のようなので、こういう事はどんどんやってほしいですね。
今の通信費が異常に高いのは、各キャリアが通信インフラへ投資しすぎているからなのだと思います。
人が少なく利益が出ない範囲までカバーしようとしすぎて、その費用が利用料となっているはずです。
そろそろインフラ整備はほどほどにして、毎月かかる通信費が適正なものになるようなプランを各社出してほしいと強く思っているのでありました。